こんにちは!Algomatic ネオセールスカンパニーで営業AIエージェント 「アポドリ」を開発している只野です。
前回の投稿では、Cursorをはじめとしたコーディングエージェントの可能性についてご紹介しました。
私たちは、日々のちょっとした調べものから業務の自動化まで、あらゆる場面でAIの力を借りています。では、ソフトウェア開発の現場ではどうでしょうか?
SNSでは「AIでアプリを一晩で完成させた!」という話題も目にしますが、実際の開発現場では何が起きているのでしょう。
AIは本当に、コードを書く"パートナー"として信頼できるのでしょうか?
開発者たちはAIにどれほど期待し、実際にどこで活用し、どこに限界を感じ、どのツールにお金を払い、どこで生産性を実感し、逆に何に不安を抱いているのか。
こうした疑問に答えるべく、「Web開発におけるAI活用のリアル」を明らかにする調査が行われました。
今回ご紹介する「State of Web Dev AI 2025」は、現場の開発者たちの生の声をベースにした非常に実践的なレポートです。
本記事の目的
本記事では、2025年に実施された「State of Web Dev AI」調査結果を日本語で紹介し、読者の皆さんが今後のAI活用や技術選定を考えるうえでのヒントを得られるようにすることを目的としています。
今回は、Google社のNotebookLMの音声会話生成が日本語対応を開始したこということで、さっそく調査結果を日本語音声で振り返ってみようと思います。
調査の背景と概要
誰のために、何のために?
2025年2月10日から3月10日にかけて実施された「State of Web Dev AI」調査には、4,181名の開発者が参加しました。結果は同年4月15日に公開され、AIを活用したWeb開発の現状と展望を示す初の大規模調査として注目を集めました。
このプロジェクトは、Devographicsが中心となり、OSSコントリビューターや業界有識者と連携して運営されています。
調査の目的
AIを活用したWeb開発の最新トレンドを明らかにし、開発者がより良い技術選択をできるよう支援すること。
調査設計と回答者
調査はGitHubでのフィードバックを通じて設計され、すべての設問は任意回答形式。主な回答者は、過去のDevographics調査(State of JSやState of CSS)の参加者や、SNS・メーリングリスト経由の開発者です。
テーマがAIであることから、AIに関心を持つ層が多く含まれており、本調査は「AI活用に積極的な開発者たちのスナップショット」として捉えると良いでしょう。
セクション別ハイライト
以下は各セクションで扱われているテーマと設問の構成です。
おことわり
- 本記事は、調査結果をもとにした要約であり、すべての設問や回答を網羅しているわけではありません。
- 本記事の作成は一部LLMを使用しています。
- 音声生成はGoogle社のNotebookLMを使用しています。音声生成の精度は100%ではありません。
- 本文と音声は異なる部分があります。ただし参照しているデータは同一のものです。
- 内容に不備があった場合はご指摘していただけると幸いです。
1. Demographics
回答者のプロフィール:年齢・国籍・経験・多様性の広がり
合計で4,181人の回答者が参加しました。回答者の属性を見てみると、居住国については78%が上位20カ国に分布しており、なかでも最多は米国(630人)で、次いでドイツ(290人)、フランス(202人)、英国(192人)と続いています。
年齢層は平均33.7歳、中央値は34歳で、もっとも多かったのは30〜39歳の層(1,374人)でした。業界経験年数では5〜9年の回答者(929人)が最多となっており、中堅層が中心を占めていることがうかがえます。
勤務先の企業規模については、100〜1,000人規模の企業に勤務する回答者が700人、1,000人以上の企業に勤務する回答者が663人と、大企業・中規模企業に所属する人の比率が高くなっています。
年収に関しては、平均が85,845米ドル、中央値が70,000米ドルで、$60,000〜$80,000(447人)と$100,000〜$150,000(466人)のレンジに分布する回答者が比較的多い傾向にあります。
学歴に関しては、ほとんどの回答者が高等教育において関連分野の学位(1,912人)を取得しており、技術的なバックグラウンドを持つ層が中心です。
ジェンダー情報については、約81%の回答者がこれを提供しており、そのうちの大多数が男性(3,051人)でした。人種・民族に関する回答は約72%から得られ、そのなかで白人(2,328人)が最も多くを占めています。なお、この設問では複数選択が可能でした。
障害の有無に関する質問では、2,200人が「該当なし」と回答した一方で、認知機能障害、視覚障害、聴覚障害、運動障害など、何らかの障害を申告したケースも確認されました。この設問も複数回答が可能です。
これらの属性データは、各質問に対する有効回答(全体の72%〜82%)をもとに集計されたものです。
2. Model Providers
最も支持されているAIモデルはChatGPT、課題は出力の信頼性
最も広く使用され、かつ高い好感度を得ているAIモデルプロバイダーはOpenAIのChatGPTであることが明らかになりました。ChatGPTは、調査回答者の91.2%が使用経験があると答えており、そのうち53.1%が「好意的な印象を持っている」と回答しています。
使用率においてChatGPTは他のモデルを大きく引き離している一方で、好感度の面ではAnthropicのClaudeが健闘しており、45.9%の回答者が好意的な印象を持っているとしています。その他、Microsoft Copilot、Google Gemini、DeepSeekといったモデルも名前が挙げられていますが、利用率・評価ともにChatGPTとClaudeの2強が際立つ結果となっています。
AIモデルの利用における最大の課題は、圧倒的にハルシネーション(事実誤認)や出力の不正確さであるという回答が多数を占めました。AIの出力が信頼できない場合、その利便性や実用性は一気に損なわれてしまうため、これは当然の懸念といえます。加えて、コンテキストや記憶容量の制限により、広範な文脈を理解・保持できないことも大きな障壁となっており、ユーザーの不満が集まっています。そのほか、生成されるコードの品質が不十分であること、プロンプトの理解度が低いこと、応答の品質にばらつきがあることなども、ユーザーが直面している具体的な課題として挙げられています。
3. IDEs & Editors
AI対応IDE・エディタの利用実態:Cursorが認知・利用・評価すべてでトップ、課題は価格と操作性
ツールの認知度、使用状況、ユーザーの評価、そして利用における課題が明らかになりました。回答者の間で最も認知度が高かったのはCursorで、全体の82.2%が名前を知っていると回答しており、次いでZedが54.1%という結果となりました。実際の使用経験でもCursorが33.1%と最も高く、Zedは17.3%にとどまっています。
ユーザーの感情面でもCursorは好意的に受け止められており、48.5%が「ポジティブな印象」を持っていると回答しました。ただし自由記述コメントには、「価格が高い」という意見が多く見られ、より手頃な代替ツールに対する市場の需要が存在することが示唆されました。
AIに特化したIDEやエディタを使用する際の主な課題としては、コンテキストやメモリの制限が最も多く挙げられており、それに次いで、過剰で煩わしいコードサジェスト、高いコストの問題が続きます。その他にも、生成コードの品質が安定しないことや、UI/UXに対する不満、ハルシネーションによる不正確な出力など、多くの点で改善の余地が指摘されています。
なお、調査対象のいずれのツールも「まだ使用したことがない」と回答した人は2,436人に上っており、AIエディタの普及がまだ発展途上にあることも今回の調査から浮き彫りになりました。
4. Coding Assistants
コーディングアシスタントの利用実態と評価:Copilotが圧倒的も、新星Supermavenに注目集まる
回答者が現在使用している、あるいは認知しているコーディングアシスタントと、それらに対する感情的評価(センチメント)、さらに使用時に直面した課題について尋ねています。
最も使用されていたのはGitHub Copilotで、全体の71.1%が「使用経験あり」と回答しました。使用率だけでなく、ポジティブなセンチメント(「もっと知りたい」「再度使いたい」など)でも27.3%と他を上回り、総合的に高い支持を得ています。使用率ではCopilotに続いてTabnine(17.1%)、JetBrains AI(12.7%)が上位に入っています。
一方、Supermavenは使用率こそ9.9%で4位でしたが、ポジティブセンチメントは71.4%と非常に高く、使用率に対する好感度の比率が際立って高い「期待の新星」として注目されています。全体として、コーディングアシスタントに対する平均的な使用経験率は18%、ポジティブセンチメントは12%、ネガティブセンチメントは19%でした。
選択肢に含まれていないその他のアシスタントも自由回答で挙げられており、Codeium、Cline、Continue、Cody、Claude、Roo Code、Google Gemini、Codiumなどが使用されていることがわかります。
回答者の利用傾向を見ると、1種類のアシスタントを使用している人が最も多く(1,792人)、次いで未使用(1,040人)、2種類使用(894人)という分布でした。
使用にあたっての主な課題としては、やはりハルシネーションや不正確な出力が最も多く指摘されました。また、コンテキストと記憶容量の制限も大きな問題とされており、これはIDEに関する調査結果と共通しています。そのほかにも、提案の煩わしさ、生成コードの品質、応答の遅さなど、さまざまな改善点が挙げられました。
これらの分析は、調査に参加した4,181人のうち、各設問に回答した約3,920人のデータに基づいています。
5. Code Generation
コード生成AIツールの利用実態:v0がトップ、課題は品質と実用性の壁
新しいコードベースやコードスニペットを作成するために使用されるAIツールに関する利用状況と評価、そして使用時の課題について調査が行われました。
この分野で特に注目を集めているのがv0で、回答者の26.5%が「使用経験あり」と答えており、さらに49.3%が「もっと知りたい」「再び使いたい」といったポジティブなセンチメントを示しています。続いて名前が挙がるのがBoltで、こちらは13.3%が使用経験あり、57.3%が好意的な印象を持っていると回答しており、ユーザー満足度の高さがうかがえます。
そのほかのツールとしては、Replit Agent & Assistant、Lovable、OpenUIなども調査対象に含まれており、とくにLovable(82.9%)やOpenUI(85.3%)は、使用者の中で非常に高いポジティブセンチメントを獲得している点が特徴的です。全体として見た場合、コード生成ツールに対する平均的な使用経験率は10%、ポジティブセンチメントは13%、ネガティブセンチメントは15%という結果となりました。
ツールの使用状況に関しては、いずれのツールも使用したことがないと回答した人が最多で、その数は2,899人にのぼります。これに対して1種類使用した人は801人、2種類は322人と、全体的にはまだ利用率が限定的であることが明らかになりました。
使用時の課題として最も多く挙げられたのは、生成されるコードの品質が低いという点でした。これは、期待した通りに動作しなかったり、そもそも正しく動作しないコードが生成されるケースが多いことを意味しています。加えて、ツールの有用性の限界や、UI/UXの使いづらさ、ハルシネーションや不正確な情報の生成といった点も、ユーザーの不満として浮かび上がっています。
これらの調査結果は、全体で4,181人の回答者のうち、このセクションに回答した約3,800人のデータに基づいています。
6. Other Tools
コード生成以外のAIツールの活用実態:画像生成やブラウザAPIへの期待が拡大
コーディングアシスタントやコード生成以外の分野におけるAIツールの利用状況や期待について、回答者の実態が調査されています。
まず、プログラミング言語との併用についての設問には全体の84%にあたる3,527人が回答しており、具体的な言語名の記載はないものの、多くの回答者が何らかの言語環境でAIツールを導入していることがうかがえます。
画像生成ツールに関する質問には3,513人が回答し、最も多く使用されていたのはDALL·E(1,483人)、次いでMidjourney(1,088人)、Stable Diffusion(849人)と続いています。一方で、1,396人は「該当なし」と回答しており、画像生成ツールをまだ使っていない層も一定数存在しています。
AIライブラリやSDKの利用については、3,171人が回答しました。その中で最も多く使われていたのはVercel AI SDK(392人)ですが、「該当なし」と答えた人が2,654人と圧倒的に多く、AI SDKの積極的な導入はまだ限定的であることが示されています。なお、Transformers.js(163人)やONNX Runtime(83人)、LangChain、OpenAI SDKs、TensorFlowといった他のライブラリも一部で使用されています。
将来的にブラウザにネイティブ対応してほしいAI APIについての設問では、翻訳(Translation)が1,892人と最も多くの要望を集め、次いで要約(Summarization, 1,405人)、キャプション生成(842人)、音声認識(795人)などが挙げられました。テキスト処理や音声機能に関するニーズの高さがうかがえます。その他にも画像生成やセンチメント分析など、多様な機能が求められています。この質問には3,052人(全体の73%)が回答しました。
また、自由記述形式で挙げられたその他のツールには、Ollama、Comfy、T3 Chat、Open WebUI、LM Studioなどが含まれており、開発者の興味が多岐にわたっていることが示されています。
これらの調査結果は、全体4,181人のうち、各質問に回答したおよそ73%〜84%の回答者のデータに基づいています。
7. Usage
AIツールの活用実態と満足度:コード生成が中心、課題も抱えつつ高評価
開発者がAIツールをどのように活用しているかを中心に、コード生成の使用状況や頻度、コスト、直面している課題、そして全体的な満足度についての調査結果がまとめられています。
開発者を対象とした調査であることから、AIの主な使用用途はコード生成であり、画像生成については、生成AIの黎明期から注目されていたものの、実際に使用していると答えた回答者は全体の38%にとどまりました。その他の一般的な用途には、学習・調査、テキスト生成、要約、翻訳などが含まれています。
AIが生成するコードの割合については、69%の回答者が「AI生成コードは全体の25%未満」と回答しており、75%以上をAIが生成していると答えたのはわずか8%でした。さらに、たとえAIでコードを生成しても、そのままでは使えないケースが多く、76%の開発者が生成コードの半分以上をリファクタリングする必要があると答えています。理由としては、可読性の低さ、変数名の不適切さ、繰り返しの多さなど、見た目や構造上の問題が多く指摘されています。また、「意図通りに動作しない」といった不具合も自由記述から明らかになっています。
使用頻度については、46%の回答者が1日に複数回AIツールを使用していると答えており、これは主にコード生成やリファクタリングを目的とした利用です。それ以外のタスク──たとえば調査、要約、翻訳などでも、比較的頻繁に使用されており、「週に数回」あるいは「1日に数回」使うという回答が多く見られました。
AIツールで最も多く生成されているコードの種類はヘルパー関数であり、次いでフロントエンドコンポーネントが多く挙げられました。これらは自己完結的で、AIによる自動生成との相性が良いと考えられています。加えて、既存コードへのドキュメンテーションやコメントの追加といった、やや意外な用途でも活用されていることがわかりました。
費用面では、個人でAIツールに支出している回答者は少なく、過半数が「0ドル」と回答しています。一方、企業の支出は極端な二極化傾向を示しており、「まったく支出していない」か「月額5,000ドル以上支出している」企業が多いという結果でした。
ローカル環境でのAI活用については、1,631人が「ローカルでAIを動かしている」と答え、さらに1,131人が「まだだが興味がある」と回答しています。これは、AIツールをより細かく制御したいというニーズの高まりを示しているといえるでしょう。
AIツールの主な課題として最も多く挙げられたのは、生成されるコードの品質の低さでした。続いて、文脈の理解不足(コンテキストの欠如)やプロンプトの解釈精度の低さが大きな問題として認識されています。加えて、ハルシネーション(誤情報の生成)や全体的な不正確さも課題とされています。
機能面に関しては、より広いコンテキストウィンドウや大規模なコードベースへの対応力が不足していると感じている回答者が多く、これらは将来的なAIツールの発展において重要な改善点と見なされています。また、知識の新しさや出力の精度の向上も求められています。
こうした多くの課題が指摘されている一方で、AIツール全体に対する満足度は高く、ウェブ開発における現状のAIのあり方について、「満足」「非常に満足」と答えた人が「不満」「非常に不満」を上回る結果となりました。
このセクションの結果は、提供されたデータに基づき、全体の7〜8割の回答者の意見を集計・分析したものです。
8. Resources
AIに関する学習・情報収集の実態:動画コンテンツが主流、開発者コミュニティとの接点も多様化
開発者がAIに関する最新情報をどのように入手し、どのように学習しているかに焦点を当てています。調査結果からは、学習リソースとしての動画配信やニュースレターの人気に加え、コミュニティ参加の傾向も明らかになりました。
最も利用されていた情報源は動画配信者(YouTubeやTwitchなど)で、全体の19%(784人)が特定の動画クリエイターをフォローしてAIについて学んでいると回答しています。中でも人気が高かったのはTheo、Fireship、The Primeagenといったクリエイターで、技術系コンテンツに強みを持つ存在として注目されています。
次いで、ニュースレターの利用が9%(391人)となっており、v0、TLDR、The Rundown AIなどがよく読まれている媒体として挙げられました。さらに、ポッドキャストを通じて学んでいる回答者も6%(237人)おり、Syntax、Lex Fridman、Hard Forkなどが人気番組として名前を連ねています。
また、ソーシャルメディア上の人物をフォローして学習しているという回答も5%(223人)あり、動画クリエイターと同様にTheo、Fireship、The Primeagenなどが再び言及されていることから、複数のメディアを横断して影響力を持っている様子がうかがえます。
情報源そのものとは少し異なりますが、開発者が参加している他の技術系アンケートについても調査が行われました。最も多くの回答者が参加していたのはState of JavaScript(2,482人)で、State of CSS(1,757人)、State of HTML(1,492人)、State of React(1,393人)といったWeb開発系の調査が続いています。さらに、より包括的な開発者調査として、Stack Overflow Annual Developer Survey(656人)やJetBrains State of Developer Ecosystem(266人)にも一定数の参加者が見られました。
これらのデータは、合計4,181人の回答者のうち、この学習・情報収集に関する設問に回答した人々(各項目あたり5%〜19%程度)をもとに分析されています。前回のセクションではAIツールそのものの使用状況や課題に焦点を当てましたが、今回はそれらを「どう学んでいるか」に視点を移した内容となっています。
9. Opinions
開発者のAI観:日常ツールとしての定着と、進化への期待と懸念
開発者がAIツールをどのように受け止めているか、またその影響や将来的なリスクについてどのように考えているかが調査されています。結果からは、日々のワークフローにおけるAIの定着と、生産性向上への実感が広く共有されている一方で、スキルの低下や将来のリスクに対する懸念も根強いことが明らかになりました。
まず、AIツールは開発者の間で日常的なコーディングワークフローの不可欠な一部になっているとの認識が強く、全体の84%(3,521人)がこの設問に回答し、肯定的な意見(「同意」および「とても同意」)が否定的な意見を大きく上回りました。また、生産性への影響については、過半数の回答者(約59%)が「大幅に向上した」と感じていると答えています(「同意」1,336人、「とても同意」728人の計2,064人)。
その一方で、AIツールへの依存が進むことにより、開発者のスキルレベルが業界全体として低下するのではないかという懸念も根強く、約60%(同意1,237人 + とても同意864人)がこの見方に同意を示しています。
一方で、自身の雇用の安定性が脅かされると考える人は少数派であり、「心配していない」とする回答(同意しない1,240人 + まったく同意しない490人の計1,730人)が、「脅威を感じている」とする回答(同意659人 + とても同意206人の計865人)を大きく上回っています。
AIが人類に実存的なリスクをもたらすかどうかという問いには、回答が割れており、42%(1,499人)が否定的、29%(1,033人)が肯定的、28%(983人)が中立的な立場を取っています。この設問では、多くの開発者がまだ判断を保留している様子がうかがえます。
最後に、「真の思考を持つ人工知能(AGI)」が今後10年以内に実現するかどうかについては、懐疑的な意見が優勢です。否定的な回答(同意しない783人 + まったく同意しない730人の計1,513人)が、肯定的な回答(同意771人)を明確に上回りました。
これらの結果は、開発者がAIを積極的に活用する一方で、その急速な発展がもたらすスキルや倫理、そして未来に対する不安に対しても敏感であることを示しています。現場での実感と長期的な展望が、複雑に交差している状況が浮き彫りになったと言えるでしょう。
10. Metadata
回答者の属性と回答環境:英語圏のデスクトップユーザーが中心
調査に参加した開発者の言語設定や回答環境、使用デバイスなどに関する背景情報が収集されています。結果からは、英語を使用する欧米圏のデスクトップユーザーが中心であることが明らかになりました。
まず、調査の回答言語としては、英語を選択した回答者が圧倒的多数(3,814人)を占めており、次いでフランス語(85人)、ドイツ語(52人)、ロシア語(50人)、スペイン語(37人)などが続いています。全体の98%がこの設問に回答しており、言語的には英語に大きく偏った構成です。
調査の完了率については、90~100%の進行度で回答した人が最も多く(2,527人)、そのうち773人は100%を完了しています。合計で4,180人がこの設問に回答しており、高い完了率が見て取れます。
回答方法(認証)に関しては、ゲストアカウントで回答した人が2,354人と過半数を占めており、ログインアカウントで回答したのは1,818人でした。合計4,172人がこの設問に回答しています。
次に、使用デバイス、ブラウザ、OSに関するデータは、合計2,774人の回答に基づいており、未回答者(1,407人)が比較的多い設問です。最も多く使われたデバイスはデスクトップ(1,973人)で、モバイル(789人)、タブレット(12人)がそれに続きます。ブラウザではChrome(1,529人)が最も多く、次いでFirefox(664人)、Safari(454人)でした。使用OSはmacOS(1,002人)が最多で、Windows(689人)、iOS(405人)、Android(396人)、Linux(282人)と続いています。
過去のDevographics調査への参加歴では、State of JavaScript(1,039人)が最も多く、State of CSS(752人)、State of HTML(705人)、State of React(514人)といったWeb技術系の調査が上位を占めています。ただし、この設問には2,907人が回答しておらず、回答数は1,273人にとどまっています。
調査をどこで知ったかについては、具体的な数値こそ明示されていないものの、State of Web Dev AI、Theo、State of React、JavaScript Weekly、職場、Frontend Focus、Google、LinkedIn、Web Standards、Blueskyなどが情報源として挙げられています。これらのチャネルが、調査の周知に大きく寄与したことが推察されます。
全体として、調査に参加したのは主に英語を使用する欧米圏のデスクトップユーザーであり、ログインせずにゲストとして参加した人が多かったことが、このセクションから読み取れます。
AIと開発者のこれから
今回の調査は、単なるツール利用の実態を問うものではありません。そこには、開発者一人ひとりの試行錯誤、希望、不安といった複雑な感情が詰まっていると感じました。
AIが日常の一部となった今、「どこまでをAIに任せ、どこを自分で考えるか」という問いは、依然として開発現場に突きつけられています。
生産性の向上を実感する一方で、スキルの劣化や信頼性への不安を拭いきれないという声も少なくありません。
今回の調査は、今この瞬間の現場を切り取ったスナップショットですが、4,000人を超える声が集まったこの結果は、「AIをどう使うか」だけでなく、「AIがどう受け止められているか」が、プロダクトエンジニアの判断や選択に少なからぬ影響を与えることでしょう。
AIと共に創る未来の選択材料として、本調査の内容が皆さんの次の一手を支えるものとなれば幸いです。
エンジニアのみなさん、カジュアル面談させてください
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